メンタルヘルス コラム

2018年07月03日

〈大腸がん検診のすすめ〉 丸岡 秀範医師

 最近になって、日本では大腸がんの罹患者数、死亡者数とも右肩上がりに増加しており、平成26年の統計では、大腸がんによる死亡者数は肺がんに次ぎ2位となっています。男性では3位(1位は肺がん、2位は胃がん)で、女性では平成15年から、1位になっています(2位は肺がん、3位は胃がん)。これには日本人の食生活の欧米化(肉、脂肪、卵などの摂取増加、穀類(米など)の摂取減少)が強く関っているようです。
 過栄養による脂肪の蓄積、赤身の肉、ソーセージなどの加工食品やアルコール摂取は大腸がんの危険因子として、定期的な運動、十分な野菜類の摂取は予防因子としてほぼ確実と言われています。セレン(ビタミンEと協力して血液の流れを改善する:大豆・いわしに含まれる)や葉酸(動脈硬化の予防・貧血に効果:大豆・ほうれん草に含まれる)・カルシウム・ビタミンD・食物繊維などは従来、予防因子と言われてきましたが、実はまだ明確な証拠となるデータはありません。
 大腸がん予防の基本は、適度な運動を心がけ、タバコ・アルコールは控える、脂肪分、加工肉の取り過ぎに注意し、果物、野菜や魚を含めたバランスのよい食事を取ることです。大腸がんは早期に発見できれば、内視鏡的切除や外科手術で完全に治すことができます。
 少し進行していても手術ができる時期であれば、外科手術で治すことが期待できますし、最近は従来より術後の創が小さく目だたない腹腔鏡下手術も多く施行されるようになってきています。大腸がんの初期にはほとんど自覚症状がありませんから、早期発見には検診が欠かせません。
 大腸がん検診の一次検診は「便潜血反応検査」 です。通常、便は日を変えて2回自分で採取し、 専用容器に入れて提出します。検査では、痔疾患やそのほかの原因で便に血液が混じっていたり、逆にがんが進行していても陽性とならないこともありますが、厚生労働省の研究では、便潜血反応検査を受けた人は、受けていない人より大腸がんによる死亡率が7割も低かったという結果が出ています。便潜血反応検査で陽性となった場合には、必ず精密検査を受けるようにして下さい。

ページトップ