体内の血液は、心臓と血管のなかを循環しています。心臓と血管に関する病気を「循環器疾患」と言います。代表的な病気は、「心筋梗塞」と「脳卒中」です。循環器疾患では、全く症状の無い方に突然、命に関わる重大な状況が発生します。
脳卒中は、マヒ、歩行障害などの後遺症が残ることが多く、認知症が進み、「寝たきり」になる最大の原因です。また心筋梗塞は、「心臓突然死」の大きな原因です。幸いにして生命の危機を脱したとしても、心臓に後遺障害を残して、息切れやむくみがおこり、活動量が低下します。だんだん悪くなると「心不全」となり、生命を縮めます。心不全による5年生存率は50%と決してよくありません。
これらの循環器疾患は、再発予防が重要であり、治療は長期にわたり一生涯継続しなければならないことが大半です。そのため、ご本人の人生を大きく損なうのみならず、ご家族や社会にも重い負担がかかります。しかし、循環器疾患は予防医療により発症および再発リスクを下げることが可能な疾患でもあります。疾患の発症を予測し重症化を防ぐことは、ご本人ご家族の人生のためだけでなく、少子高齢化社会における社会福祉健全化につながります。