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コラム

2023年04月03日

加藤潔医師ドクターリレーコラム『定期的に子宮頸癌検診を受けましょう』

〜定期的に子宮頸癌検診を受けましょう〜
とやま健診プラザ 加藤 潔 医師

子宮頸癌は 20 歳代〜30 歳代の女性で最も罹患率が高く年間 2,000 人〜3,000 人の方が発病されています。また全年齢では年間約 13,000 人が子宮頸癌と診断され、そのうち約 3,000人が亡くなっています。

全身いずれの部位の癌でも早期発見すれば、その予後は良好であることは広く知られています。
そのために様々な「がん検診」が色々な方法で行われています。
婦人科においては子宮頸癌検診などが行われています。
子宮頸部の細胞を擦りとって細胞の形などを調べる検査です。
比較的手軽な検査と婦人科医は考えていますが、日本ではその検診率は非常に低いのです。
欧米先進国では 70〜80%の検診率と言われています。
WHOでは、日本は子宮頸癌後進国と言われているそうです。
検診率が上がれば子宮頸癌で亡くなる人を減らせますし、若くして妊孕にんよう性(妊娠が出来る可能性)を失うという事も減らせます。

子宮頸癌の 95%はヒトパピローマウイルス(HPV:イボを作るウイルスの仲間)の感染が引き金になっている事が判っています。
HPVは 100 種類以上が確認されていますが、その中で約 15 種類が子宮頸癌発生に関わっている事も判っています。
これらのウイルスをハイリスクHPVと呼びます。
性行為で 80%以上の方がHPVに感染しますが、その約 90%は自然に排泄されてしまいます。
残りの約 8%の方に持続的な感染が起こり、広い意味での「前癌状態」が始まります。
「前癌状態」から癌の始まりまで段階を経て1年から数年かかる事も判っています。
子宮頸癌検診では子宮頸部の細胞の変化を捉え「前癌状態」の有無やその程度を調べています。
また、膣内に潜むHPVがハイリスクHPVか否かも調べる事も可能です。

そしてさらに約 15 年前からHPV、とくにハイリスクHPVに対するワクチンも認可され、HPVワクチン接種事業も始まっています。
日本ではこの事業も少し出遅れていますがいずれ欧米先進国に追いつくでしょう。
欧米先進国では近い将来、極めてまれなタイプのものを除けば子宮頸癌の撲滅は可能だろうと言われています。

いずれにしろ子宮頸癌後進国と言われないようにするには、1〜2年ごとの子宮頸癌検診とHPVワクチンの接種率を上げる事が重要であると考えています。

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